はじめに
前回の記事では、ロンドンで迎えた仕事初日について書きました。
英語がほとんど聞き取れず、研修では何を言っているのか分からない場面が続き、自己紹介でも思うように話すことができませんでした。
そんな状態で始まったロンドンでの仕事ですが、私に与えられた役割は店舗のマネージャーでした。
日本では13年間高校教員として働き、部活動や学年運営などで人をまとめる経験は積んできました。
しかし、海外で、多国籍のスタッフをマネジメントする経験はもちろん初めて。
今回は、ロンドンで初めてマネージャーとして働き始めた頃に感じた、日本との違いや苦労について書いていきたいと思います。
まずはスタッフとの信頼関係づくり
仕事が始まって最初に意識していたのは、とにかくスタッフと積極的にコミュニケーションを取ることでした。
幸いにも職場には日本に興味を持っているスタッフが多く、日本へ旅行したことがある人や、実際に日本に住んでいた経験のあるスタッフまでいました。
そのおかげもあり、新しく来た英語の苦手なマネージャーという立場ではありましたが、比較的温かく迎え入れてもらえたと思います。
もちろん、英語はまだまだ思うように話せません。
知っている単語を必死につなぎ合わせ、ジェスチャーも交えながら何とか会話をしていました。
今振り返ると、
「この人、英語全然できないな(笑)」
と思われていたかもしれません。
それでも、話しかけ続けることだけはやめませんでした。
英語が完璧になるのを待っていたら、一生コミュニケーションなんて取れないと思っていたからです。
ネイティブは私に合わせて話してくれていた
実は後になって知ったことがあります。
職場のネイティブスタッフに聞いたところ、私と話すときは普段とは話し方を変えていたそうです。
友達同士で話すようなスラングや早口の英語ではなく、なるべく分かりやすい単語や教科書に近い表現を選んでくれていたそうです。
私は必死に聞き取ろうとしていましたが、実は相手も私に合わせて努力してくれていました。
それを知ったときは嬉しかった反面、
「英語って本当に奥が深いな…。」
と改めて感じました。
まだまだ知らない表現や文化がたくさんあり、自分の英語力不足も毎日のように痛感していました。
少しずつ見えてきた職場の課題
仕事を始めて1か月ほど経つと、少しずつ職場全体が見えるようになってきました。
同時に、
「ここは改善した方がいいな。」
と思うことも増えてきました。
当時、お店は少しずつお客様が減ってきている時期でした。
そこで私は、日本での経験も踏まえながら、集客につながりそうなイベントをいくつか提案しました。
例えば、
- 雨の日割引
- スポーツ観戦イベント(パブリックビューイング)
- ハロウィンイベント
などです。
イギリスは雨の日も多く、スポーツ文化も非常に盛んな国です。
「これは意外と面白いかもしれない。」
そんな気持ちで提案しました。
しかし…
返ってきた答えは、ほぼ全て
「No」
でした。
一番大きかったスタッフからの反発
特に反発が大きかったのは、イギリス人のネイティブスタッフ3名でした。
もちろん、普段は本当に良い人たちです。
仕事もできて、お店のこともよく理解していました。
だからこそ、変化を受け入れることが難しかったのだと思います。
その3人は以前から実質的なリーダーのような存在で、
- シフト作成
- 商品発注
- スタッフ管理
など、多くの仕事を任されていました。
長年お店を支えてきたという自負もあり、自分たちのやり方に強い誇りを持っていました。
その立場からすると、英語も十分に話せない新しいマネージャーが突然現れ、
「これを変えましょう。」
と言い始めたわけです。
今振り返れば、反発されるのもある意味当然だったのかもしれません。
日本とは違う「主張する文化」
日本の職場では、相手に配慮しながら話を進める場面が多いように感じます。
もちろん意見がぶつかることもありますが、遠回しな表現を使うことも少なくありません。
しかし、私が働いていたロンドンの職場では全く違いました。
自分の考えははっきり伝える。
納得できなければ遠慮なく反対する。
その姿勢が当たり前でした。
私は英語に自信がなく、自分の考えを十分に説明できません。
そのため、議論になると押し切られてしまうことも少なくありませんでした。
マネージャーとして働いているにもかかわらず、自分の提案を通せない。
そんな悔しい思いを何度も経験しました。
マネージャーは「優しいだけ」では務まらない
この頃、私が最も感じたことがあります。
それは、
マネージャーは優しいだけでは務まらない。
ということです。
もちろん、これはイギリス全体がそうだと言いたいわけではありません。
私が働いていた職場で感じたことです。
スタッフと仲良くなることはとても大切です。
しかし、それだけではマネジメントは成立しません。
最終的に誰が決定するのか。
責任を負うのは誰なのか。
その線引きを曖昧にすると、組織はまとまりにくくなる。
そんなことを実感しました。
日本では比較的フラットな関係性が好まれる場面も多いですが、私の職場では、自分の立場を明確に示さなければマネージャーとして認めてもらえない場面も少なくありませんでした。
業績改善とスタッフの反発
お店の業績は決して良い状態ではありませんでした。
だからこそ、私は何とか状況を変えようと必死でした。
しかし、変えようとすればするほどスタッフからの反発も大きくなっていきます。
「このままでいい。」
というスタッフと、
「変えなければいけない。」
と考える私。
その間で板挟みになる日々が続きました。
海外で初めて経験したマネジメントは、想像以上に難しく、毎日のように悩み続けていました。
最後に
海外でマネージャーとして働くことは、英語が話せれば何とかなるというものではありませんでした。
言語だけでなく、文化、価値観、仕事への考え方、そしてリーダーシップのあり方まで、日本とは大きく異なります。
正直、この頃は毎日が苦しく、自分はマネージャーに向いていないのではないかと思うことも何度もありました。
しかし、この経験があったからこそ、「海外で働くこと」の本当の難しさと面白さを学ぶことができたと思っています。
次回は、そんな苦しい状況の中で少しずつ信頼関係を築き、職場が変化していくまでの出来事について書いていきたいと思います。
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このブログで紹介している経験が、皆さんの次の一歩のヒントになれば嬉しいです。
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▼前回の記事はこちら
「高校教員を辞めてイギリス大学院へそしてロンドンで就職|期待と現実のギャップ」
▼次回の記事はこちら
「海外でマネージャーとして働くことの難しさ②」
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