はじめに
前回の記事では、ロンドンで初めて多国籍スタッフをマネジメントして気づいたことについて書きました。
高校教員として働いていた私にとって、海外で、しかも多国籍のスタッフをまとめながら店舗を運営するという仕事は初めての経験でした。
最初はスタッフとの信頼関係を作ることから始まり、少しずつマネージャーとしての仕事にも慣れていきました。
しかし、実際に店舗を運営してみると、大変だったのはスタッフのマネジメントだけではありませんでした。
水道管が詰まる。
エアコンが壊れる。
下水が詰まる。
Wi-Fiが突然使えなくなる。
日本で生活していた頃にはほとんど経験したことがないようなトラブルが、ロンドンでは驚くほど頻繁に起こりました。
今回は、ロンドンでマネージャーとして働く中で苦労したことについて書いていきたいと思います。
多国籍スタッフをマネジメントする難しさ
まず苦労したのが、前回の記事でも書いたスタッフのマネジメントです。
私が働いていた店舗には、日本人だけではなく、さまざまな国籍のスタッフが働いていました。
当然ながら、育ってきた環境も違えば、仕事に対する考え方も違います。
日本で働いていた頃には、「これくらいは言わなくても分かるだろう」と思っていたことが、まったく伝わらないこともありました。
逆に、自分の中では当たり前だと思っていたことが、相手にとっては当たり前ではありません。
「なぜこれをやっていないの?」
と思うこともありましたが、よく考えてみれば、そもそも自分がきちんと説明していなかったということもありました。
英語が母国語ではない私にとっては、そこにさらに「言葉の壁」も加わります。
伝えたつもりでも伝わっていなかったり、逆に相手が言っていることを自分が正確に理解できていなかったり。
スタッフ同士の考え方の違いから、問題が起こることもありました。
日本の高校で教員をしていた頃も、生徒や保護者、同僚など多くの人と関わってきたので、人とのコミュニケーションにはある程度自信を持っていました。
しかし、国籍も文化も言語も違うスタッフをまとめることは、それまでとはまた違った難しさがありました。
その中で少しずつ感じるようになったのが、
「自分の常識を相手の常識だと思わないこと」
の大切さです。
相手が分かってくれるだろうと期待するのではなく、必要なことはきちんと言葉にして伝える。
そして、自分の考え方だけを押し付けるのではなく、相手がなぜそのように考えているのかを聞く。
これはロンドンでマネージャーを経験して学んだ、大きなことの一つだったと思います。
毎日設備の異常が発生する
スタッフのマネジメントだけでも大変でしたが、もう一つ私を悩ませたのが店舗設備のトラブルでした。
本当に、いろいろなものが壊れました。
水道管が詰まる。
エアコンが動かなくなる。
Wi-Fiが突然つながらなくなる。
そして下水が詰まる。
「今度は何だ……」
と思うくらい、次から次へと問題が起こります。
日本にいた頃であれば、何か壊れたら業者に連絡して、修理してもらえば終わりという感覚がありました。
しかし、ロンドンではそう簡単にはいきませんでした。
まず、業者を呼ぶだけでもかなりのお金がかかります。
そして、高いお金を払ったからといって、必ずしも問題が解決するとは限りません。
見てもらったものの、
「これで本当に直ったの?」
と思うようなこともありました。
しばらくすると、また同じ問題が発生する。
別の業者を呼ぶ。
またお金がかかる。
そんなことを繰り返しているうちに、
「これ、自分でやった方がいいんじゃないか?」
と思うようになりました。
そこからは、できる範囲のことは自分で調べて、自分で直すようになっていきました。
高校教員をしていた頃には、まさか数年後の自分がロンドンで店舗の水道や設備と格闘しているとは想像もしていませんでした。
最大の敵は「下水の詰まり」
そんな数々のトラブルの中でも、圧倒的に大変だったのが下水の詰まりです。
ある時、店舗の下水がうまく流れなくなってしまいました。
水が正常に流れなければ営業することができません。
当然、すぐに業者へ連絡しました。
しかし、見てもらっても直らない。
別の業者にも問い合わせる。
また見てもらう。
それでも直らない。
いろいろな業者に何度も連絡し、原因を調べてもらいましたが、なかなか問題を解決することができませんでした。
営業できなければ、その分だけ売上もなくなります。
スタッフのシフトもあります。
「早く直さなければ」
という焦りだけがどんどん大きくなっていきました。
そして、このトラブルが起きたのが年末年始。
周りがクリスマスやニューイヤーを楽しんでいる中、私はひたすら店舗で下水と向き合っていました。
業者に電話をしたり、店舗を確認したり、どうすれば直せるのかを調べたり。
気が付けば、年末年始のかなりの時間をお店で過ごしていました。
今となっては笑い話ですが、当時は本当に大変でした。
「自分はロンドンまで来て、一体何をしているんだろう」
と思ったこともあります。
33歳で高校教員を辞めてイギリスへ渡り、大学院を卒業。
そのままロンドンで就職して、海外でマネージャーとして働く。
文字だけを見ると、なんとなく格好良く見えるかもしれません。
しかし現実は、年末年始に店舗で下水の詰まりと格闘していました。
海外で働くというのは、決してキラキラしたことばかりではありませんでした。
メンタル面の変化
ただ、こうした経験を繰り返しているうちに、自分自身にも変化がありました。
それは、
細かいことをあまり気にしなくなったことです。
ロンドンでは、本当に予想外のことが起こります。
予定通りに進まない。
頼んだことができていない。
突然設備が壊れる。
業者を呼んでも直らない。
最初の頃はいちいちイライラしたり、焦ったりしていました。
しかし、毎日のようにそんなことが起きていると、
「まあ、なんとかなるか」
と思えるようになってきます。
もちろん、仕事なので問題は解決しなければなりません。
ただ、問題が起きたこと自体に必要以上に感情を揺さぶられることが少なくなりました。
起きてしまったものは仕方がない。
それよりも、
「じゃあ、どうするか」
を考える。
これはロンドンで働いたことで身についた考え方の一つだと思います。
まとめ
ロンドンでマネージャーとして働いた経験は、私にとって本当に刺激的なものでした。
多国籍のスタッフをまとめる難しさ。
文化や価値観の違い。
英語でのコミュニケーション。
そして、水道、エアコン、Wi-Fi、下水など、次々と起こる店舗トラブル。
高校教員として働いていた頃とはまったく違う問題に、毎日のように向き合いました。
当時は大変なことばかりでしたが、今振り返ってみると、この経験から学んだことはたくさんあります。
自分にとっての当たり前が、相手にとっての当たり前とは限らないこと。
問題が起きても、まずは冷静に「どうすれば解決できるか」を考えること。
そして、意外と何とかなるということ。
高校教員を辞めてイギリスへ行かなければ、おそらく一生経験することのなかった出来事ばかりでした。
華やかに見える「海外就職」の裏側には、こんな泥臭い日常もあります。
それも含めて、私にとってロンドンで働いた時間は、とても貴重な経験になりました。
読者の皆様へ
私は「高校教員を辞めてイギリス大学院へ留学する、そして転職する」という、少し勇気のいる選択をしました。
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このブログで紹介している経験が、皆さんの次の一歩のヒントになれば嬉しいです。
感想や質問だけでも大歓迎ですので、お気軽にメッセージをお送りください。
▼前回の記事はこちら
「高校教員を辞めてイギリス大学院へ|ロンドンで初めてマネジメントを経験して学んだこと」
https://motokyouin.com/london-manager-first-challenges/
▼次回の記事はこちら
「高校教員を辞めてイギリス大学院へ|サッカー指導と多国籍スタッフのマネジメントから学んだこと」
https://motokyouin.com/uk-coaching-management-lessons/


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