はじめに
前回は、大学のサッカーチームで初めてプレーした経験について書きました。
海外で多国籍なメンバーと一緒にサッカーをする中で、日本との価値観や文化の違いを数多く感じました。
どのような選手が評価されるのか、どんなプレースタイルが求められるのか、そしてどのくらいの頻度で練習を行うのかなど、日本とイギリスではスポーツへの取り組み方にさまざまな違いがありました。
また、サッカーを通じて出会った仲間たちとカラオケに行ったり、クラブへ遊びに行ったりと、競技以外の部分でも多くの刺激を受けました。
今回は、プレーヤーとしてではなく「指導者」として現地のサッカークラブに関わった経験について書いていきたいと思います。
私が指導していたチームとシステムの違い
まず最初にお伝えしておきたいのは、今回紹介する内容はあくまで私が実際に指導した子どもたちを通して感じたことであり、すべてのイギリスの子どもたちに当てはまるわけではないということです。
私が指導していたのは、大学と提携しているセミプロクラブのアカデミーチームでした。
イギリスにはイングランドのプロリーグがあります。最も有名なのはプレミアリーグですが、ウェールズにもこのイングランドリーグに所属しているクラブがいくつか存在しています。
一方で、それとは別にウェールズ独自のセミプロリーグも存在していました。
私の感覚では、レベルとしてはイングランド4〜5部程度に相当するリーグだったと思います。
そのセミプロクラブの一つが私の通っていた大学と提携しており、大学がスポンサーとして支援を行っていました。
また、大学の施設をクラブへ貸し出しており、選手やアカデミーの子どもたちも大学の設備を利用することができました。
設立からそれほど年数の経っていないクラブでしたが、大学の支援もあって非常に恵まれた環境で活動していました。
カテゴリーはU7〜U16まで各年代のチームがあり、その上にU19、そしてトップチームが存在していました。
私はその中でU10(9〜10歳)のカテゴリーのコーチを担当していました。
練習は週2回(火曜日・木曜日)、そして日曜日にはフレンドリーマッチが行われていました。
練習場所は大学内にあるドーム型の人工芝グラウンドです。
日本でもここまで恵まれた環境はなかなか見たことがありませんでした。
▼写真

また、ウェールズのアカデミーではチーム運営に関するルールが非常に厳しく定められていました。
これは日本との大きな違いだと感じました。
例えば、所属コーチの人数や練習環境によって、チームが実施できる練習回数が決められていました。
つまり、十分な指導体制や環境が整っていないクラブは、活動そのものに制限がかかるのです。
これは保護者や子どもたちがクラブを選ぶ際の大きな判断材料になります。
さらに、1チームが登録できる選手数にも上限が設けられていました。
その理由は、すべての選手に適切な試合出場機会を確保するためです。
日本では強豪校や人気クラブに選手が集中し、試合に出場できないまま引退してしまうケースも少なくありません。
実際に私も、高校サッカーで最後まで公式戦に出場できなかった選手を何人も見てきました。
そのような状況を防ぐための仕組みが整備されていたことは、とても印象的でした。
日本とイギリスの子どもたちの違い
いざ指導が始まると、私はとても緊張していました。
人生で初めての海外でのサッカー指導です。
しかも当然ながら、すべて英語でコーチングをしなければなりません。
そして、やはり大きな壁を感じました。
一番苦しかったのは、自分の伝えたいことがうまく伝えられないことでした。
指導者として伝えたいことはたくさんあるのに、それを英語で表現できない。
そのもどかしさを毎回感じていました。
さらに、子どもたちは全員現地のネイティブスピーカーです。
私にとっては、子どもたちが何を話しているのか聞き取ることすら簡単ではありませんでした。
以前の記事でも書きましたが、ネイティブスピーカーの英語は本当に別次元でした。
▼以前の記事
そして、イギリスの子どもたちはとても自己主張がはっきりしています。
大人だから従う、子どもだから我慢するという感覚はあまりありません。
つまらない練習は「つまらない」と言いますし、納得できなければ態度にも表れます。
正直に言うと、英語も十分に話せず、コーチングも現地のコーチと比べれば未熟だった私は、徐々に子どもたちから信頼を得られなくなっていることを感じていました。
当時はかなりショックでした。
中でも今でも忘れられない出来事があります。
それは、私が担当している練習を途中で放棄し、子どもたちが別の遊びを始めてしまったことです。
日本で指導していた時には経験したことがありませんでした。
もちろん注意もしました。
しかし、まったく言うことを聞いてくれません。
むしろ反論されることもありました。
当時の私は大きな挫折感を味わいました。
しかし同時に、あることにも気付かされました。
それは、日本の子どもたちは私が思っている以上に我慢してくれていたのではないかということです。
日本の子どもたちは不満があっても口に出さず、我慢して練習に参加していることがあります。
そのため指導者側は問題に気付かないまま、同じやり方を続けてしまうこともあるのかもしれません。
この経験は私にとって大きな学びになりました。
私は「成長するために留学したんだ」と自分を奮い立たせました。
そこからは練習内容を徹底的に見直しました。
どうすれば子どもたちが夢中になるのか。
どのタイミングで声をかけるべきなのか。
どうすれば楽しみながら上達できるのか。
毎日のように考え続けました。
練習が夕方からだったので、朝から練習メニューを考えていた日もあります。
また、英語力が十分ではなくても、指導者としての姿勢は示さなければならないことも学びました。
ダメなことはダメだとはっきり伝える。
子どもたちに流されない。
そのことも強く意識するようになりました。
もちろん、それでも口答えしてくる子はいましたが(笑)。
当時は本当に苦しい経験でした。
しかし今振り返ると、教員としても指導者としても大きく成長できた時間だったと思います。
最後に
イギリスで子どもたちを指導した経験は、私にとって非常に大きな学びとなりました。
思うように言葉が通じず、子どもたちに話を聞いてもらえない。
日本では経験したことのない壁に何度もぶつかりました。
しかし、その経験があったからこそ、自分の指導を客観的に見つめ直すことができました。
環境が変われば、これまで当たり前だったやり方が通用しなくなることがあります。
それはとても苦しいことですが、その苦しさの中にこそ成長のきっかけがあるのだと思います。
もし私が日本だけで指導を続けていたら、自分の課題に気付くことはできなかったかもしれません。
この経験は、現在の学生支援の仕事にも活きています。
相手の立場に立って考えること。
相手に合わせて伝え方を工夫すること。
その大切さを改めて学ぶことができました。
留学中は苦しいことの連続でしたが、今振り返ると、この経験こそが私を成長させてくれた貴重な財産だったと感じています。
次回は、留学中に初めて経験したアルバイトについて書いていきたいと思います。海外で働くことの難しさや、日本との違いについても紹介できればと思います。
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このブログで紹介している経験が、皆さんの次の一歩のヒントになれば嬉しいです。
感想や質問だけでも大歓迎ですので、お気軽にメッセージをお送りください。
▼前回の記事はこちら
「大学サッカーチームで感じた日本との違い」
https://motokyouin.com/uk-master-football-team-experience/
▼次回の記事はこちら
「イギリスでの初めてアルバイト」
https://motokyouin.com/uk-study-abroad-first-part-time-job/



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