高校教員を辞めてイギリス大学院へ|Pre-sessional Course編⑦

イギリス留学

はじめに

前回の記事では、イギリス到着後に住居探しや各種手続きを進めながら生活基盤を整えていく様子をお伝えしました。

今回はその続きとして、大学院入学前に受講した英語事前学習コース(Pre-sessional Course)の内容について紹介します。どのようなことを学び、それが大学院生活にどう役立ったのかを詳しくお伝えしていきます。

Pre-sessional Courseとは

以前のブログでも少し触れていますので、ぜひそちらもご覧いただければと思います。

Pre-sessional Courseとは、大学入学に必要な英語力の基準を満たしていない学生でも、この英語事前学習コースを修了することで大学への入学が認められる制度です。

イギリスの大学院では、一般的にIELTSという英語試験で総合スコア6.5以上を求められることが多いです。

ただし、理系の学部では7.0以上が必要な場合もありますし、私が進学したスポーツ系の学部では6.0が基準となっていました。また、大学と大学院でも基準が異なるため事前の確認が必要です。

私が大学院入学前に取得していたIELTSのスコアは5.0でした。そのため、Pre-sessional Courseを受講することになりました。

「英語事前学習コース」と聞くと、多くの方は語学学校のような授業をイメージするかもしれません。

しかし、実際の内容は少し異なります。

このコースでは、「大学や大学院でどのように学ぶのか」を学びます。

例えば、

・論文の書き方

・Reference(参考文献)の示し方

・本や論文の読み方

・議論の進め方

などを、「Writing」「Reading」「Speaking」「Listening」の4つの観点から学んでいきます。

そのため、皆さんが想像するような一般的な語学学校とは少し違った内容でした。

結果的に、このPre-sessional Courseは私にとって非常に有意義なものでした。

特に論文の書き方やReferenceの扱い方を事前に学べたことは大きかったと思います。

大学院に入学してからいきなりレポートを書くのではなく、一度このコースで経験していたおかげで、結果的に一つの科目も落とすことなく修了することができました。

それでは、実際にどのような授業が行われていたのか詳しく見ていきましょう。

実際の授業内容

それぞれ具体的にどのようなことを学んでいたのか紹介していきます。

Writing(ライティング)

私が最も得意だったのは、このWritingの授業です。

おそらく日本人は学校教育の中で文法や英文を書く練習を比較的多く行っているため、Writingには強い傾向があるのではないかと感じています。

授業では毎回テーマが与えられ、それについてレポート形式で文章を書いていきました。

ただし、大学のレポートには独特のルールがあります。

例えば、論文では「I」「you」「he」「she」など、人を主語にした表現を避けることが多くあります。

そのため、研究者ではなく「データ」「結果」「実験」などを主語にした文章を書くことが一般的です。

NG🙅‍♂️

I analyzed the data.

OK🙆‍♂️

The data were analyzed.

NG🙅‍♂️

We conducted an experiment.

OK🙆‍♂️

An experiment was conducted.

また、文章の構成についても多くのアドバイスを受けました。

例えば、

「ソーシャルメディアはコミュニケーションに悪影響を与えているのか」

というテーマが与えられたとします。

その際、

「私はソーシャルメディアは悪影響を与えていると思います」

というように自分の意見だけを書くことはできません。

まずは、

「ソーシャルメディアはコミュニケーションに悪影響を与えている」

という主張を支持する文献や論文を集め、Referenceとして示します。

しかし、それだけでは十分ではありません。

一方で、

「ソーシャルメディアはコミュニケーションに良い影響を与えている」

という反対の立場の文献や論文も集め、Referenceとして示す必要があります。

このように複数の文献を比較しながら議論を進め、自分の論文のDiscussionを完成させていきます。

ライティングの授業では、このような内容を中心に学んでいました。

Reading(リーディング)

続いてReadingです。

こちらはWritingとも関連する部分が多くありましたが、主に以下のような内容を学びました。

・基本的な文法の学習

・本や論文の読み方

・参考文献を自分の論文でどのように活用するか

大きく分けると、この3つです。

・基本的な文法の学習

コースが始まったばかりの頃は、実はこの部分にかなり苦労しました。

例えば、以下の単語が何を意味しているか分かりますか?

  • present tense
  • past tense
  • present participle
  • past participle
  • passive voice(passive form)

日本語にすると、

  • 現在形:present tense
  • 過去形:past tense
  • 現在分詞(〜ing形):present participle
  • 過去分詞:past participle
  • 受動態:passive voice(passive form)

となります。

私は日本で英語を勉強してきましたし、文法もそれなりに学んできたつもりでした。

しかし、それらをすべて日本語で学んできたため、授業で突然これらの単語が出てきた時は理解するのにかなり時間がかかりました。

授業の冒頭では、その日に扱う文法について先生が説明する時間があるのですが、その会話についていけず、

「何の話をしているんだろう?」

と思っていたら、後からスライドに日本で見たことのある文法事項が出てきて、

「あっ!これのことか!」

と気づくことが何度もありました。

・本や論文はどのように読むのか

これは日本でもよく言われることかもしれませんが、

「論文は全部読まなくていい」

と何度も言われました。

最初はかなり驚きました。

日本では本や資料は最初から最後まで読むものだと思っていたので、「必要な部分だけを読む」という考え方はとても新鮮でした。

先生たちがよく言っていたのは、

「全部読んでいたら時間が足りない」

ということです。

そもそも、なぜ論文や本を読む必要があるのでしょうか。

もちろん課題として読むこともありますが、一番の目的は自分が論文を書く際にReference(参考文献)として活用するためです。

そのため、自分の研究テーマに関連する情報や引用したい内容が書かれている箇所を探すことが重要になります。

論文全体を隅から隅まで読むのではなく、

「どこに自分が欲しい情報が書かれているのか」

を見つけながら効率的に読んでいくことが求められました。

・参考文献を自分の論文でどのように活用するのか

参考文献として使いたい箇所を本や論文から見つけたとしても、その文章をそのままコピーして使うことはできません。

そこで必要になるのが、

  • Summarize(要約)
  • Paraphrase(言い換え)

です。

授業では、この2つを繰り返し練習しました。

簡単に言うと、参考文献に書かれている内容を、自分の言葉で要約したり言い換えたりして、自分の論文の中で活用するということです。

なぜこの作業が重要なのでしょうか。

実は大学では、提出したレポートや論文が既存の文献や他の学生のレポートとどの程度似ているかをチェックされます。

類似度が高すぎる場合は減点の対象になったり、場合によってはレポートとして認められなかったりすることもあります。

そのため、Readingの授業では特にParaphraseやSummarizeの練習を重点的に行っていました。

例えば、Paraphraseの例は以下のようになります。

【文献からの引用文】

Regular physical activity can reduce the risk of cardiovascular disease and improve overall health.

【Paraphrase】

Engaging in exercise consistently may lower the likelihood of heart-related illnesses while enhancing general well-being.

このようにParaphraseでは、単に単語を置き換えるだけではありません。

・近い意味の単語に変更する

・文章の構造を変える

・単語の順番を入れ替える

といった工夫を加えながら、意味は変えずに別の文章として表現します。

最初は難しく感じましたが、大学院に入ってからはほぼ全てのレポートで必要になるスキルだったので、この時期に学べたことは非常に大きかったと思います。

最後に

今回はWritingとReadingについて紹介しました。

Writingでは大学院で求められるレポートの書き方を学び、Readingでは論文の読み方やReferenceの活用方法を学びました。

どちらも大学院生活では欠かせないスキルであり、このPre-sessional Courseで基礎を身につけられたことは本当に大きかったと感じています。

一方で、WritingやReadingは比較的得意だった私ですが、SpeakingやListeningにはかなり苦労しました。

これは学校の英語教育でどのような力を中心に身につけてきたかという部分やそれぞれの国のパーソナリティの違いなどでかなり色が出るんだなと感じました。

次回はPre-sessional Courseで最も苦戦したSpeakingとListeningについて書いていきたいと思います。

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このブログで紹介している経験が、皆さんの次の一歩のヒントになれば嬉しいです。

感想や質問だけでも大歓迎ですので、お気軽にメッセージをお送りください。

▼前回の記事はこちら

「Pre-sessional Course編⑥|波乱の家探し3」
https://motokyouin.com/uk-study-abroad-house-search-3/

▼次回の記事はこちら             

「Pre-sessional Course編⑧」
https://motokyouin.com/pre-sessional-course-speaking-listening/

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